建築デザインで活用するRhinoceros®/Grasshopper®実践講座
講座詳細

3D空間を正しく扱うための基礎
座標・スナップ・NURBSなどの知識を通じて、Rhinoceros®を活用した正確に形を構築するための基本操作と感覚を身につけます。

形を手順として考えるノウハウ
Grasshopper®における「入力→処理→出力」と考え方を学び、形をつくる前に手順を設計するプロセスを学習します。

形をルールから生み出す方法
数値や条件、法則により形を制御する方法を学び、再現性のある造形プロセスの習得を目指します。

実務に応用できる“設計の種”
実務に近い事例を題材に、その設計プロセスを簡略化して再現します。実務で求められる複雑な形状を解決するための、応用可能な仕組みや考え方をお教えします。

形を評価・検証する視点
光、連続性、環境負荷といった視点から形状を検証し、設計の質を高めるためのデジタル的な検証プロセスを身に付けます。

小さな課題でたくさん実践する重要性
大きな作品ではなく短時間で作れる課題を積み重ね、試行錯誤の回数を増やしながら必須スキルを養います。
※上記の画像は講座に対する理解を深めるためのイメージです。
1.自己紹介と講座の目的-講師の実践事例紹介と講座のゴール設定 -Rhinoceros®の歴史と役割:実務での立ち位置を整理 -なぜRhino+GHなのか?パラメトリックデザインのメリット解説
2.環境構築とファーストタッチ-環境構築:単位設定、言語設定、ビュー設定 -「ねじれタワー」を作成 -「スライダーで形が変わる」挙動を体験
3.概要説明と図面のインポート-直感操作と論理構築の違い -平面・立面図のインポートとスケール調整 -モデリングの基準となるガイドライン作成
4.モデル作成-「箱(Box)」と「線(Line)」のアプローチ比較 -シンプルなボリュームを作成 -ビルのモデルを作成する
5.データの格納と基本操作-データの格納とWire接続のルール -Set Multipleで「大量の点を一気に取り込む」挙動 -入出力(Input/Output)の関係性を理解
6.計算とベクトル-XYZ座標系とVector(向き)の概念を理解 -四則演算コンポーネントでの数値コントロール -Construct Planeで家具を正しい向きに配置する
7.ベンチ作成①:形状デザイン-波打つ座面のベースラインを作成 -有機的なカーブを直感的に調整 -座面の高さや奥行きを数値でコントロールする
8.ベンチ作成②:部材化-Contour(等高線)を使って形状をスライス -Extrudeで板厚を与え、R面取りを行う -重い処理を回避するためのデータ整理術
9.ベンチ作成③:レイアウト-3DモデルをXY平面(加工原点)に並べ直す -各部材に固有の部材番号を自動配置 -加工用データを作成する
10.プラグイン活用-Food4Rhinoからのダウンロードとインストール -Shibainuを使って複雑な幾何学パターンを生成
11.データ構造-Graft(階層化)とFlatten(平坦化)を図解で理解 -あえてツリー構造を崩して、意図しない形状を作る -データ構造を整えて正しく動作させる
12.Excel連携とデータ整理-Excelデータの整形(CSV化)とGHへのインポート -日本語データ読み込み時のトラブルシューティング -必要な「列」や「行」だけを抽出・整理するテクニック
13.3D地図作成①:形状制御-日本地図にExcel数値を紐付ける -欠損値(データなし)がある場合の処理方法 -数値(人口等)に応じて各県の高さをExtrudeする
14.3D地図作成②:視覚表現-グラフを作成する -グラフや文字を空間上に配置する -プレゼンテーション用のLegend(凡例)を作成する
15.ファサード改修-改修面をパネル分割する -パンチング穴を作成する -開口に合わせて形状を自動処理
16.視線シミュレーション-視点を設定する -解析アルゴリズムを作成する -結果を表示する
17.解析データの書き出し-部屋ごとの「眺望スコア」を数値化する -レポート作成:計算結果をExcel形式の表として書き出す
18.図面を作成する-パネルごとのデータを作成する -寸法の作成 -図面データをillustratorに書き出す
19.レンダリング -マテリアル設定:Rhino Cyclesでの金属やガラスの質感設定 -レンダリング:ライティング調整と最終パース画像の出力
20.まとめ-総括:振り返りと、今後の学習ロードマップ
当講座は、以下のツールを使用します。
[メインツール]
-Rhinoceros®
※Rhino8またはRhino7の使用を推奨
-Grasshopper®
-illustrator
-Microsoft® Excel®
※プログラムの注意事項必要に応じて作成
空間デザインエンジニアの布井翔一郎です。東京理科大学建築学科を卒業後、高木秀太事務所に勤務し、Rhinoceros®/Grasshopper®を中心としたデジタルデザインを建築・プロダクト領域の実務で展開してきました。2023年に設立した「NOI STUDIO」の代表として、設計の創造性を拡張するプロジェクトを多数手がける傍ら、複数の大学で非常勤講師を務めています。
デジタルツールは、形を描く手段であると同時に思考を拡張するための道具です。この講座では、建築実務でRhinoceros®/Grasshopper®をどのように活かすかを具体的に学び、ツールを通じて自身の発想や構想力を広げる思考方法を習得していただくことを目指します。
該当の分野を勉強している方、この講座を受講しようか悩んでいる方は、どのような部分に課題を感じているでしょうか?本講義を通じて、そのような部分をどのようなプロセスで解決できるでしょうか?
Rhinoceros®やGrasshopper®に興味はあっても「どんな場面で使うのか」「どんな仕事に役立つのか」がイメージできず、学び始めるきっかけを掴めない方は少なくありません。そこで本講座では、いきなり高度な造形に挑むのではなく、まずは小さく始められる実務的なTipsや活用シーンを、具体例を通して体験していただきます。
建築業界を目指されたきっかけを教えてください。
学生時代に訪れたフランク・ゲーリーの展覧会が大きな転機となりました。それまでも建築やデザインには関心がありましたが、ゲーリーのように常識にとらわれない造形を実際の建築として成立させるには、形だけでなく、それを支える技術や仕組みの設計が不可欠であると知り、強い衝撃を受けました。同じ頃に出会ったRhinoceros®/Grasshopper®というデジタルツールに「これはまさに、形の裏にあるロジックや仕組みを扱える道具なのではないか」と感じ、この体験が建築とデジタル技術を結びつける道へ進むきっかけとなりました。
勉強、実務経験の中で難しさを感じた部分について教えてください。また、解決するためにどのような努力をされましたでしょうか?
Rhinoceros®やGrasshopper®を使い始めた当初は、ツールを使うこと自体が目的化してしまい、かえってデザインの幅が狭くなる場面がありました。そこで「手描きや模型などのフィジカルな検討」と「デジタルでの検討」を使い分けながら、「本当にデジタルを使うべきか?」を意識して判断するようにしました。使う場面を選べるようになってからは、デジタルも自然にデザインへ活かせるようになりました。
建築の仕事を行う上で大切なポイントについて教えてください。
建築の現場では、「デジタルでこういうことはできないか?」と相談を受けることが非常に多くあります。その場で技術的な解決策を示すこともできますが、より重要なのは、なぜその課題が生まれたのか、そして上流の設計段階でデジタル的な思考を取り入れていれば解決できたのではないか、という視点を共有することだと考えています。
そのためには、まだデジタル技術に馴染みのない人にも「何ができるのか」「どこで役立つのか」をわかりやすく伝えることが欠かせません。単なる操作習得にとどまらず、業界全体のデジタルリテラシーを底上げしていくことが、建築の質を根本から引き上げることにつながると感じています。
【経歴】 2006.04 ~ 2010.03 久留米大学附設高校 2011.04 ~ 2014.07 東京大学 中途退学 2016.04 ~ 2020.03 東京理科大学 工学部 建築学科 2020.05 ~ 合同会社髙木秀太事務所 2020.10 ~ 東京デザイナー・アカデミー(旧 東京デザイナー学院) 非常勤講師 2023.04 ~ 相模女子大学 非常勤講師 (学芸学部 生活デザイン学科) 2023.05 ~ 合同会社髙木秀太事務所 NOI STUDIO 2024.04 ~ 日本工学院 非常勤講師 2025.04 ~ 多摩美術大学・東京理科大学 非常勤講師 【受賞・展示】 東京理科大学 築理会賞(2020) 「自然という時を描く at DESIGNART TOKYO」(2024) 高木秀太事務所展覧会「第一回 建築家のための建築家 展」(2025)
【経歴】 2006.04 ~ 2010.03 久留米大学附設高校 2011.04 ~ 2014.07 東京大学 中途退学 2016.04 ~ 2020.03 東京理科大学 工学部 建築学科 2020.05 ~ 合同会社髙木秀太事務所 2020.10 ~ 東京デザイナー・アカデミー(旧 東京デザイナー学院) 非常勤講師 2023.04 ~ 相模女子大学 非常勤講師 (学芸学部 生活デザイン学科) 2023.05 ~ 合同会社髙木秀太事務所 NOI STUDIO 2024.04 ~ 日本工学院 非常勤講師 2025.04 ~ 多摩美術大学・東京理科大学 非常勤講師 【受賞・展示】 東京理科大学 築理会賞(2020) 「自然という時を描く at DESIGNART TOKYO」(2024) 高木秀太事務所展覧会「第一回 建築家のための建築家 展」(2025)