リアルを突き詰める油彩技法:写実の哲学と感情の描写
講座詳細
具象画と写実絵画の違い
精密に描かれたものが、必ずしも写実絵画とは限りません。両者を分けるのは、その根底にある哲学の有無です。単なる細密描写から一歩進み、作家が世界をどう捉え、表現するのかという思考の領域まで踏み込み、写実絵画の本質を探求します。
観察の仕方
写実表現の土台となるのは、対象を深く捉える「観察眼」です。モデルの肌の質感や温度、その場の空気感までを描き出すために、制作前に「何に」「どのように」注目しているのかを解説。描くこと以上に重要な、観察の質を高める視点を養います。
混色理論
感覚に頼りがちな混色を、理論で裏付けられた確かな技術へと変えます。作家が実践する色彩理論を学ぶことで、なぜその色になるのかを理解し、狙った色を自在に作り出す力を習得。パレットの上で無限の色彩を生み出すための基礎を固めることができます。
描写方法
作家がどのような筆のスピードで描き、描く時間と観察する時間にどう比重を置いているのか。その一連の制作過程を学ぶことで、自身の作業効率や表現の質を見直すきっかけが得られます。言語化されにくいリズムやテンポ感を解説します。
感情と何が結びついているか
人物の内面を描き出すために、感情が身体にどう作用するのかを分析します。喜びや憂いといった感情が、筋肉の緊張や血色、姿勢にどう現れるのかを解説。目には見えない感情を、説得力のある物理的な描写へと繋げるためのアプローチを身につけます。
光と影と色
光と影、そして色彩の関係性を正確に捉えることは、立体感を生み出す基本です。そこからさらに踏み込み、光の色温度や影の落とし方によって、描く人物の感情をどう演出するのかを考察。光と感情を結びつけ、より深みのある表現を目指すことができます。
※上記の画像は講座に対する理解を深めるためのイメージです。
1. 講座の紹介・自己紹介とキャリアについて ・講座を通して得られるもの
2. 油彩の基本準備 混色法・使用している絵具・メディウム・パレット構成 ・混色法
3. 写実絵画の哲学・写実のバリエーション ・写実絵画全体・個人としての写実
4. モデルとの向き合い方・距離感・体温・視線をどう捉えるか ・「いる」という感覚をどう画面に乗せるか ・写真について・関係性
5. 構図・中心・余白・比率による安定と緊張の設計 ・視線の流れをつくる構成の考え方 ・選んでしまう構図
6. 何を描くか・何に注意して構図を決めるか
7. 観察・描き始める前に観るべき点とは
8. 感情と色彩・ 色を選ぶ基準、色で伝える感情 ・感情がどこで現れるか ・自分の感情から/モデルの感情から
9. 肌・冷たい影、温かい光のバランスの取り方 ・平坦に見えない肌の奥行き表現
10. 血、体温・赤みを使った感情のにじませ方 ・血色感の表現
11. 服・シワの構造把握と形のパターン ・素材ごとの筆圧と描き分け(綿・絹・ウールなど)
12. 毛・流れと動き ・ハイライトの位置でツヤと立体感を強調するコツ
13. 背景と光・落ち着かせ方 ・構図
14. 完成とは・自分にとっての「納得」の定義を持つ
15. 最後に・表現者として続けていくためには ・よくある質問への回答
【経歴】 -2007年広島市立大学芸術学部美術学科油絵専攻を卒業 -第2回ホキ美術館大賞展 特別賞 ホキ美術館に作品が多数所蔵されている。 シンガーソングライターのヒグチアイさんのインディーズ時代のCDジャケットに採用。 ポーラ化粧品の研究に作品を提供し技術研究に貢献。 映画監督の岩井俊二さんの小説のインスピレーションの元となる。 テレビ、新聞、雑誌、ラジオなど多数のメディアに取り上げられている。
【経歴】 -2007年広島市立大学芸術学部美術学科油絵専攻を卒業 -第2回ホキ美術館大賞展 特別賞 ホキ美術館に作品が多数所蔵されている。 シンガーソングライターのヒグチアイさんのインディーズ時代のCDジャケットに採用。 ポーラ化粧品の研究に作品を提供し技術研究に貢献。 映画監督の岩井俊二さんの小説のインスピレーションの元となる。 テレビ、新聞、雑誌、ラジオなど多数のメディアに取り上げられている。