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interview

『自分の個性こそ最強の武器』

Nor(Aiceroom)の活動から ひも解くコンポーザーとして活躍するための哲学

Nor(Aice room)


【楽曲制作】
・ゲーム「ブルーアーカイブ」 一部BGM制作
・TVアニメ 「探偵はもう、死んでいる。」 劇中歌制作
・テレビ朝日 「お願いランキング 」 OP楽曲制作
・「Kizuna Ai」や「にじさんじ」、「VEE」などのバーチャルタレントの楽曲制作
・「アイドルマスター」や「電音部」、「BanG Dream!」などのIPの楽曲制作
など

【イベント出演】
・NIGHTHIKE 出演
・暴力的にカワイイ 出演
・Anime Japan 2024 出演
・カナダアニメコンベンンション「OTAKUTHON」出演
など

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『自分の個性こそ最強の武器』

Nor(Aiceroom)の活動から ひも解くコンポーザーとして活躍するための哲学

エンターテイメントカルチャーが大衆の大舞台に躍り出てから、早数年。 コアなネットカルチャーもメインストリームへと登場・裾野を広げている。 それは音楽ジャンルでも変わらず。ボカロをはじめとしたネットカルチャーで熱狂的な人気を博しているジャンルが、今のVTuber・ゲームなどエンタメ楽曲の流行を形作っているケースは少なくない。 その影響もあり、コアカルチャーに根ざしたクリエイターたちが多くの大型のタイトルで活躍している。トラックメイカー・DJ Nor(Aice room)もそのひとりだ。 Coloso.では、Nor(Aice room)の活動と制作に対する哲学をインタビュー。 そこから見えてきたのは、『自身の個性を武器』にするという彼の強い信念と考えだった。

Section 01   Nor(Aiceroom)の原点は、『作曲』ではなく、 『コードを簡単にコピーしたかった』

Section 02   『初心者こそ何よりも曲を作れ』とNor(Aiceroom)が言うワケ

Section 03   『自分らしさを武器に』 大型タイトル参加の秘話から紐解く活動の哲学

Section 04   エンタメ業界で活躍するには一にも二にも『個性』

Nor(Aiceroom)の原点は、『作曲』ではなく、
『コードを簡単にコピーしたかった』


─さて、まずはNor(Aiceroom)さんのご経歴の部分をぜひお聞かせ願いたいと思っています。 Nor(Aiceroom)さんといえば、VTuberや大人気ゲームの楽曲などをご担当されていると思いますが、活動をはじめられたきっかけはなんだったのでしょう?

Nor(Aice room)
作曲を始めるきっかけになったのは、実はは作曲とは違うところにあります。中学生の時に、お小遣いで、半分おもちゃみたいな感じで、アコースティックギターを買ったんですよ。

で、実は曲ごとにコードというものがあるんですけど、(演奏するために)そのコードを毎回検索するのめんどくさいなって思って。だから、曲を聴いてすぐコードをコピーする方法って何だろうと思って、そこから、作曲の基本になる和声学とか諸々を独学したところが、きっかけとしてはあるんですよね。

そのあと、音楽制作プログラムみたいなのがあるんですけど、そういうのを触ったりしながら録音してみたりしてたんです。それで、中学三年生くらいからかな。日本のボカロカルチャーとか、ネット音楽シーンに影響されて、僕もこういうの作ってみたいなと思いました。

それがきっかけで、高校一年くらいの時に作曲をし始めました。まぁ最初活動したのは別のシーンだったんですけど。そういうまぁなんというか、ちょっとコンプレックスなきっかけですね。


─そうなんですね。ちなみに当時影響を受けられていたのは、
 Diverse Systemとか同人音楽系のカルチャーだったりするんでしょうか?

Nor(Aice room)
これが実はですね、僕、同人っていうのは作曲始めてからはいったんですよ。だから、Diverse Systemさんとか、あのコミュニティの楽しさとか、そのカテゴリを(当時は)全然知らなかったんですよ。


─そうなんですね!少し意外です!

Nor(Aice room)
(笑)でも、結局同じフィールドですからね。


─最初の頃はどのような感じの楽曲を制作されてたんでしょうか?

Nor(Aice room)
─最初は電子音楽メインのボカロを やりたいっていう思いがあったんですけど、 アップロードしてたプラットフォームは、ニコニコ動画じゃなくて、SoundCloudでしたね。だから、そっちの影響を強く受けてました。ま、でも最終的にはなんだかんだ電子音楽メインのところに僕も行っちゃうんですけど。でも、その二つが混ざってるのが今の自分の音楽だと思っていて。結果良かったなというところはあるんですけど。色はそんなに変わってないけど、まぁ当時の音楽の発展系が今って感じかな。


─当時のSoundCloud系とは、どのようなジャンルだったんでしょうか?

Nor(Aice room)
そうですね、ひとつはフューチャーベースかな。それがSoundCloudで流行してました。
ちなみにその時にはやってたフューチャーベースが、今流行りのカワイイフューチャーベースの元だったりします。まぁこれも10代のオタクたちが作ってたものなんですけど、アニメの楽曲とかをサンプリングしたりして、フューチャーベースにくっつけてみようやっていうところでやってたのが、そのカワイイフューチャーベースのはじまりですね。カワイイフューチャーベース以外にも今の電子音楽ポップスで結構使われる文脈は、数年前のSoundCloudから来てるところは結構あるなって感じですね。

『初心者こそ何よりも曲を作れ』とNor(Aiceroom)が言うワケ

─さきほど独学という話がありましたが、具体的にどのように作曲を学ばれたんですか?

Nor(Aice room)
いっぱい聴いていっぱい作ったって感じですね。具体的にはいい曲を聴いた時に、なんでこの曲がいいかっていうポイントと、じゃあこれを再現するにはどうすればいいんだっけ?を自分で頑張って体験してみたりするのが一番だったかなと思います。

あとは、僕は日本の音大を出ていて、そこで音楽を勉強したんですけど、僕の担当だった先生が、 NHK の劇団とかやってる方だったんですよね。なんで、音大では僕のメインジャンルとは違って、結構オケストレーションやってる先生に教えてもらったんですよ。

それでその先生に、君はもう自分より全然電子音楽とか多分全部もう勝手にやっちゃうと思うから、その以外のことを教えてあげたいといわれて。その時に作曲のボイシングとか、他の音楽──編曲じゃなくて作曲的な知識、テクニックとかを学びました。それが結構電子音楽系の楽曲の作曲を行っていく上でも、すごい役に立ったなっていうのも思います。

なので、結論、結構編曲とか電子音楽辺りは独学だったなっていうのもありつつ、ある程度知識を得てからの、大学の先生が教えてくれたディテールが今役に立ってるのかなっていうのを思ったりしますね。


─最初は独学で、その後は専門性のあることを学ばれてきたんですね。ひとつ、素朴な疑問になりますが、楽曲をとりあえず作ってみるというのを最初されたということでしたが、初心者ができたりするものなのでしょうか?結構作曲難しいイメージがあるのですが…?

Nor(Aice room)
でも、やっぱりこれが初心者でもやってみるのが大事なんですよね。理由としては、やらなかったら何が自分ができないのかわからないんですよ。でも、一回やってみると自分は『今何ができるのか?何ができないのか?』みたいなのがわかるじゃないですか。『今これをやりたいけど、これができないからそこにたどり着けない』…そういう自分のできない何かが特定できるんですよ。

で、それを軸に、その問題をどう解決するか、例えば──その問題をほかのコンポーザーは何て読んでて、なんで検索すればその方法はでてくるのか、という次のアクションができるんですね。僕は今MIXができない、スネアが前に出てこないとかね。そういうのを特定できると自分の成長にちゃんとつながるので。だからいっぱい曲を作るっていうのは大切ですね。

『自分らしさを武器に』
大型タイトル参加の秘話から紐解く活動の哲学

─現在は大型ゲームタイトルに参加されるなど、 活動規模も広げられていると思うのですが、その転機をお伺いさせていただきたいです。 そもそもその大型タイトルのお仕事の依頼が来た経緯とは何だったのでしょう?

Nor(Aice room)
めっちゃ端的にいうと、自分の活動ですかね。 僕の代表的なタイトルとしてよく上げられる仕事が、僕に来た理由としては全部自分があの個人的にやってた活動だったんですよ。フューチャーベースシーンで活動してたりとか、歌ものを作ってた、自分が個人的に出してた曲を聞いてもらったとか、そういうものですね。

だから、そういう仕事を得るために必要なのは、案外今自分が何が作れるかっていうのと、自分がどれぐらい人より独特なキャラを持っているかっていうところをアピールすることだったりします。

だから、ぼくはあんまり流行のジャンルを渡り歩く…みたいなことはおススメしないです。 例えば、電子音楽だとハイパーフリップ、ハイパーポップみたいな、ジャンルが結構人気なんです。

で、例えば、仕事が欲しいから『今からハイパーポップ、ハイパーフリップみたいなものを作ります!』っていうってつくっても、それを作ってた子たちとは全然違うと思うんですよね。


─確かにそうですね。お話をお伺いしていて、自身の強みを鑑みずにクライアントや流行りのものに自分の個性まで消えてしまう。さらにいうと、自分の個性として、長年そのジャンルで作り上げてきた方は固有のカルチャーを持っているから、その中で戦ったとしても、カルチャーに根付いている方とはバックグラウンドが異なる楽曲ができてしまうということですよね?

Nor(Aice room)
そうです。だからこそ、自分が何がうまいか、何がうまくて、何で有名で、何が作りやすいのかっていうのをちゃんと考えることがまず大事。その上でそのジャンルがちょっと今盛り上がってるシーンではないなら、自分の根底にある音楽ジャンルやカルチャーを、流行のサウンドに持ってきてくっつけて、それっぽく混ぜてからアピールするのが良いと思いますね。

実際、これは僕も今やってて。個人的に活動しているジャンルは何かと聞かれても、百パーセントフィーチャーベースとは言いづらいところがあるんですよね。結構最近流行ってる音色に結構寄せてはいるので。


─なるほど、似たようなカルチャーのものをなぞるのも一つのマーケティング手法なのかもしれないですが、結局量産型のコンテンツとして捉えられて、作家性などなぜその方に依頼するのかという意義が無くなってしまうということですよね。

ご自身でもその点を楽曲を制作する上で大事にされていらっしゃいますか?

Nor(Aice room)
そうですね。その点が一番大事だなと思ってて。 やっぱり講座でも言っているところではあるんですが、自分が何屋さん、何が作れる人、というのをちゃんと理解してから、肉付けしていくほうがいいですね。


─まずは自分の強みを知るとか、どこのカルチャーに根ざしているのかみたいなところを もう一回見つめ直すのがひとつということですね。まずは、楽曲とか流行のその音色みたいなところに落とし込む際に、どのようなアプローチをとられていらっしゃるんでしょうか?

Nor(Aice room)
今流行ってるジャンルとか、何かそういう音色が何なのかっていうのを確実に理解するのが一番大事だなと思っていますのでそういうアプローチをとりますね。

そのためには、結構普遍的なことなんで申し訳ないんですが、いっぱい曲を聴けっていう。 あとは、電子音楽に限定される話ではあるんですけど、カルチャーに寄ってるイベント、クラブイベント、 DJ イベントっていうのがあるので、そこにいくのもいいかも。大人しか行けないところとか、未成年もOKとかいろいろあります。そこに行ったら、今流行ってる曲を全部 DJ たちが持ってくるとおもうんですよね、だからおすすめです。


─ちなみに楽曲分析とかはされるんでしょうか?

Nor(Aice room)
いや、しないかも。それよりも、現場でお客さんが聞いて喜んでるところとかアガってるところってのを観察します。自分がお客さんになってる時に、その曲を聴いた時の、どういう感じになるのかを見てますね。

でも現場にいてみんな喜んでて、。こういう時にドーパミン出るんだなっていうのを体で感じて、 確信を得た上で、家に帰ってからどうやって作るんだろうみたいなのを宿題として持ち帰る感じかな。


─現在の作曲の思考や、スタイルに至ったのはいつ頃からでしょうか?  最初からだったりするんでしょうか?

Nor(Aice room)
変わった時の正確なタイミングはわかんないんですよね。

最初は、単純になんだろう。ドーパミンで原動力に曲作ってたって感じ。 みんなで友達同士でみんなで同じように作って。で、それが流行ってたし、めっちゃ再生数上がるし、単純に楽しい!でやってましたね。その時はあんまアーティスト、作家の違いとかちゃんと考えてなかったですね。 あと、当時投稿してたSoundCloud の場合は映像が必要ないんで、今より考えなくてもよかったてのもありますけど。

でも今の時代になって、結局今流行ってる、例えば自分で歌って活動してるアーティストさんが楽曲有名なとこに提供するという形の方が多いと思うんですよ。だから、それが正解だと思ったし、結果的には自分で勝つのが大事だなっておもいました。

あとは焦燥感かな。このままだとやっぱりみんなに遅れ、時代遅れになる気もしたし。自分活動しながら、やっぱり自分への興味っていうのも、このシーンからの、やっぱりなくなっていくんだなっていうのを実際感じたんですよね。

まぁあと、作曲、編曲だけ上手くても、作曲売れるわけではないっていうところは思います。だから自分がちゃんとマーケティングとか企画とか、そういうのも全部できないとダメだなっていうのも思ったり。

それちゃんと自分を表現しながら、自分がアーティストになりつつ生きた方が絶対いいなっていうのをいろいろ感じていつしか、今の考えになった感じですかね。

エンタメ業界で活躍するには一にも二にも『個性』

─そんな今の時代の中で、エンタメ業界ではどういった楽曲が求められているんだろうなみたいなのを肌感覚でも構いませんので、、お伺いしたいです!

Nor(Aice room)
まぁ、数字を持ってるとか、売れてるとかそういうのも大事ですけど、個人的に一番大事なのは最初に言ったことで。自分の軸・カルチャー・個性とかを出したポートフォリオがあって、そこにちゃんとはまるパズルなのかどうかっていうのが重要。

いろんな要因ありますけど、楽曲制作の担当者決めるときって、 今こういう楽曲が欲しい、こういうコンセプトで、 この中に制作候補者を入れた時にハマるかどうかで決めるってのもあって。 だから自分の個性をもってるのってすごく大事です。


─でも自分らしさとシーンで求められてることのバランスとるのは、
難しいと思うのですがいかがでしょうか?

Nor(Aice room)
最初からバランスを取りに行く必要はないと思ってて。 一つ有名なもの持ってた方が音楽だといいよねとはおもいますね。自分らしさっていうのを一つはちゃんと持って、それをアピールしてから、その後にバランスは取りに行けばいいのかなと思います。


─今までのお話を総括させていただくと、『自分らしさ』を重視されているように思うのですが、Coloso.講座でも重視されていらっしゃるのでしょうか?

Nor(Aice room)
Coloso.の講座は…、今まで話したこととは逆のことをいうかもしれないんですが、 逆に自分の個性がわかんない人に、僕の作風をどうやって作るのかをみせてるんですよね。

活動したい・楽曲を作りたいって人がいたとして、その人が自分らしさについて迷子になってるとしたら、とりあえず僕の個性を見に来てくださいっていう考えで作ってます。

講座でも実際に、自己分析から自分だけの「色」を見つけ、音楽活動のコンセプトを固めるところから、コード進行や音作り、打ち込みといったトラックメイクの核心部を講師自身のスタイルをリファレンスに解説しつつ、最後に、ミックスとマスタリングで作品の完成度を高める方法と、

アートワークやSNS活用まで含めた、セルフプロデュースの視点と技術を習得できるような内容になっている。

ちなみにおススメできる人でいうとこの講座に関しては、 - まずは僕のスタイルをどうやって作るのか、本当にそれが分かりたいと思ってる人。
- 音楽作る時に、 ちょっと難しいなと思ってしまう人
- 今全部ちゃんと作れるけどこの先どう自分をアピールすれば良いかわからない人。
この3つのタイプの人にとっておススメできると思います。


─お話を聞いていると、今までのNorさんのお考えとは真逆のコンセプトのように
 見受けられるのですが、なぜこの講座ではこのコンセプトで制作されたのでしょうか?

Nor(Aice room)
僕は、自分の個性を作ることって、他の人のいろんな個性を経験し、それを実際に作ることができてはじめて可能になると思ってるんですよ。

なので、この講座では出来る限りいろんなタイプの曲の作る方法をまず最初に見せたかったんです。 だから、もし皆さんがこの講座をどう使おうか悩んでるなら、 自分の個性を見つけるための最初の一歩として、使ってほしいです。


─ありがとうございます!最後に楽曲制作に関して一言いただけますと幸いです!

Nor(Aice room)
いっぱい曲を聞いてください。 いっぱい何でもかんでも、嫌なものでも好きなものでもいっぱい聴いて理解するのは大事です。 それに尽きます!